「不動産投資を始めたいけれど個人でやるべき?法人を設立する?」「ローン審査で良い評価を得るためにはどこに気をつけるべきか?」とお困りの方は、必見です。
法人での不動産経営には大きく分けて以下の2つのメリットがあり、長期的に見れば法人として組む方が有利だと言われています。
① 税金が抑えられる
② 融資面で有利になる
さて、そんな法人での不動産投資について、今回は「法人でローンを組む2つのメリットと審査で良い評価を得るためには」について、詳しく解説していきます。
そもそも不動産投資とは?
まず、不動産投資とは何か、どんな仕組みか、ご存知ですか?
ここでは、定義やメリットデメリットを分かりやすく解説します。
不動産投資とは
マンションの一室やアパート一軒、オフィスビルなどを購入して他者に貸し出す、いわゆる「大家さん」になることを言います。他にも駐車場、倉庫、太陽光発電、コインロッカー、コインランドリー、民泊等も不動産投資と言えます。
家賃収入(インカムゲイン)と売買差益(キャピタルゲイン)により収益を出すということを不動産投資と呼ばれます。
不動産投資のメリット・デメリット
不動産投資はその他の投資と比べ、金融機関から融資を受けてローンを組める、つまり、少ない元手から資産を拡大できるという部分で圧倒的に異なります。
さらに、ローンを組むにあたり、金融機関がある程度審査したうえで融資をしているため、他の投資よりも客観的な判断になると言えます。
主なメリットは以下です。
・現物資産のため価値がゼロになることは無いという特性がある
・所得税や相続税を節約できる
などがメリットと言われています。
デメリットとしては、流動性の低さやランニングコストがかかる点、更には空室や家賃下落、災害、金利の変動などのリスクがあることが挙げられます。
【法人向け】不動産投資ローンを受けるメリット2選
ここからは、個人ではなく法人で不動産投資ローンを組む際のメリットを解説します。
冒頭でも挙げた通り、法人で不動産投資ローンを組むメリットは以下の2つです。
① 税金が抑えられる
② 融資面で有利になる
以下で詳しく説明していきます。
メリット1:税金が抑えられる
課税所得900万以上の場合、法人の方が実効税率が安くなります。
家賃収入が1ヶ月につき100万以上あるのであれば、所得税の計算において法人での経営がより安く抑えられると言えるでしょう。
他に、
・社会保険控除の上限がなくなる
・相続税がかからなくなる
などのメリットも挙げられます。
さらに、課税所得金額も変わってきます。
個人での不動産経営においても諸経費の計上が可能ですが、法人での経営の場合、認められる経費の範囲が広がります。
役員報酬として家族への給与支払も可能になるほか、減価償却についても法人だと範囲内であれば任意での計上が可能です。
また、欠損金の繰り越しが個人では青色申告でも3年までであるのに対し、法人では9年まで認められています。
このように、税制面や課税所得での違いにより、税金が節約できます。
メリット2:融資面で有利になる
個人だと住宅ローンと同様に、定められた条件の中での契約になりますが、法人の場合それぞれの法人に対して条件を組むことになるため金額の上限がなく、金利も低くなることが多いです。
また、継続融資も個人の場合より受けやすいため、不動産投資の事業を拡大していく見通しがあるのであれば、法人で始めるのが良いでしょう。
法人のデメリットとしては、設立や決算のための費用がかかること、赤字の際にも住民税がかかることなどが挙げられます。
これらについては、長期的に事業を拡大していく方針があるのであれば、メリットと相殺される程度のリスクだと言えるのではないでしょうか。
法人が銀行で「不動産投資ローン融資」を受ける際の審査基準
さて、実際に法人として不動産投資ローンを組む場合、金融機関での審査に通るかどうかが問題になってきます。
個人の融資の場合、金融機関は「担保価値」「人物評価」の2点から融資の実行を判断しています。
しかし法人の場合、人物評価の代わりに「事業評価」が重要な指標になります。
法人がローンを組む際の金融機関での審査の基準について解説していきます。
審査基準1:担保価値
個人への融資と同様、まず最初に審査されるのは購入する不動産の「担保価値」です。
担保価値とは、その不動産を売却した時に得られる対価です。土地の「路線価」、建物の「再調達価格」と「経年劣化」を使い算出します。
金融機関は融資する際の担保として、不動産に抵当権を設定します。
そのため、融資できる金額は不動産の担保価値に比例するのです。
融資を申し込む際は、購入金額が土地と建物の評価に見合ったものであるかを十分に吟味することが大切です。
審査基準2:事業評価
事業評価では、
「安定経営している企業であること」
「不動産事業への安心感」
が評価の基準となります。
法人の融資は
「最低でも2期連続の黒字、できれば3期以上の黒字決算」
が条件だと言われています。
・債務超過でないこと
・自己資本比率が高いこと
・流動資産が純資産の30%以上あること
なども、安定経営していると評価されるポイントです。
不動産事業への安心感をアピールするためには、
・不動産投資専用の法人、会社である
・長期保有前提で運営している
・不動産投資事業の実績がわかりやすい
などの要素が提示できると、融資において有利になります。
また、個人時代の不動産賃貸業の実績がある場合、規模が大きく、経験歴が長いほど信用は大きくなります。
賃貸経営の現状が分かるように、入居率、収支、担保価値、物件選びの基準などの資料を用意しておくことをお勧めします。
【まとめ】長期的なビジョンに基づき安心感を与えられる事業計画を!
今回は、法人での不動産投資について説明しました。
・ローンによる不動産投資は元手を少なく始められることがメリットである一方、空室のリスクや流動性の低さ、ランニングコストなどの問題で返済に窮するリスクもある。
・規模を拡大していく見通しがあるならば、個人よりも法人のほうが税金面と融資面で圧倒的有利。しかし、法人を設立すると設立や運営にコストがかかるなどのデメリットも存在する。
・銀行から見て、「経営が安定している」「不動産投資に安心感がある」法人は融資を受けやすい。資料を揃えて安心感をアピールすることが必要。
などがわかりましたね。
法人での不動産投資ローンは、必ずしもメリットだけではありません。
しかし、長期的なビジョンを持って十分な準備・情報収集をすることができれば、きっと上手くいくはずです。